こんばんは、ビルメン会社員の牧健太郎です。
ビルメンは建物の維持管理がお仕事です。
安全安心、快適な環境を提供できるようにするのがお仕事です。
それはモノのためにではなくヒトのためにです。
災害は今まで築いていたモノを一瞬にして破壊し多くのものをヒトから奪い苦心の跡を残していきます。
地震、台風、津波、洪水等…災害は突然やってきます。
どのような被害になるのかそれは終わってみないとわかりません。
昨年、夏に西日本豪雨で兵庫県内では34市町の計約105万人に前もって避難指示や避難勧告が発令されたが、実際に避難した人は最も多い時点でも1%に満たなかったそうです。(参照:兵庫県調べ、神戸新聞記事より)
多くの人が実際に目前まで危機が迫ってこないとその危険を「危険だ」と認知できません。避難を最優先事項にできないです。
しかしそれを危機感が欠如しすぎている…とは言えないと思います。
理由は2つの心理的要因があります。(正常性バイアスと多数派同調バイアス)
1つ目は「人はある範囲までの異常は異常と認識せずに正常なものとして考えてしまいます」(正常性バイアス)。
想定外のことが起きたとき「これはありえない」という偏見が働き「まぁ大丈夫だろう」と心の平穏を守る作用が働くのです。
例えば家の中にいるときに大きな地震が起きて一旦収まったときに外に出ず家の中に留まってしまうと行動を取ってしまいます。(外に出てより危険な状態になってしまったというケースもあるのでただ外に出れば良いというものでもありません。)
自分は大丈夫と思ってしまうのです。
楽観的で良い場合に働くことも多いのですが逃げ遅れの大きな原因の一つになってしまいます。
2つ目は「取りあえずまわりの人に合わせようと考えてしまいます」(多数派同調バイアス)。
みんなと同じことをするのって安心です。逆にみんなと違うことをした方が安心だと言う人は少数派じゃないでしょうか。
幼少期からの学校教育や社会に出てからも一般的に他人と協調する(周りと同じようにする)ことが必要だとか大切だとか言われてきたように思います。
1つ目で書いた正常性バイアスの働きと、この多数派同調バイアスが相乗効果を生み「今動く必要はない」という考えに至るのです。
もっとも家財をほってはいけない、仕事があるんだとか他の理由で動けないこともあるでしょう。
ここから本題です。
災害のように非常事態の場面、ビルメンとしてどうするべきか。
実際になってしまったら焦ってしまいますよね。
もしかしたら動けず固まってなにもできなくなってしまうかもしれません。
なぜそうなってしまうのでしょう?
想定外のことだから?
経験したことないことだから?
心の準備ができていないから?
ではどうするべきか?
的確に指示してくれる人がいる状態であればその通りに動くのもいいです。
考えられる一番最悪な事態から軽度なことまで日頃から考えてみてはどうでしょう。そしてそのときの優先事項とどういう行動を取るかを具体的に想像しておくのです。パターンはできる限りたくさん。なにが優先なのかも責任者に確認しておく必要もあります。
その中で特に優先すべき行動は紙に書いたりスマホに保存したりといつでも見れるようにしておくのもいいかもしれません。
例題を上げてみます。商業施設で火災感知器の誤発報するかもしれないといったケースを想像してみます。連動遮断停止はされておらず誤発報でも火災感知器が感知されれば警備会社に自動的に通知され、フラッシュピカピカ地区音響サイレンは響き渡り、防火戸シャッターは作動し、空調機やエスカレーターやエレベーターは停止します。この時点では火災なのか非火災(誤発報)なのか判断できないので原因が取り除けるまで地区音響停止、連動移報停止操作は行ってはいけないと指示を受けています。
利用者さんもパニックになることでしょう。防災センター(ビルメンの待機所)には電話の嵐。自分たちもパニックになっているかもしれません。全ての電話対応をしていたら身動きが取れなくなるかもしれません。警備会社からの電話に取ることができなければ(ピンポイントで取れないでしょう。)消防車を要請されます。さらなる騒ぎを呼ぶことになるかもしれません。パニックは怖いもので何も災害が起きていないのに大きな災害(事故)を招いてしまうことがあります。さて、自分が優先する行動は…。
どの現場には緊急時にどうするべきかという一般的なマニュアルは備え付けています。…があくまで一般的です。人員の状況一つにとっても常に同じ状態ではありません。もちろん基本としておかなければなりませんがマニュアル通りには中々いかないものです。あらゆるケースを網羅したしたマニュアルだと広辞苑のような感じになり実用的ではありません。マニュアルを読む余裕はないかもしれません。また自分は具体的にどうすべきかという個別マニュアルでもありません。
なにが正解であるかどうか結果論でしかありません。
最悪な事態が起きたとき自分はどうするか、できるかぎり多くのパターンを日頃から考え想像しておくことがそのときの行動の結果に繋がることでしょう!