電力量計を分解してみた

分解
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こんばんは、ビルメン会社員3年生の牧健太郎です。

埋もれていた古い普通電力量計(アナログ)を発見したのでバラバラにしてみました。

電力量計は電気代(電気の使用量)を算出するための計器です。

このタイプの正式名称は誘導型交流積算電力量計です。

電力量計分解前正面

電力量計分解前(底)穴が開いた部分が電線接続部です。

電力量計カバーを外したところ(正面) 三菱電機1991年製です。型番はM2lHM-K5 交流三相3線式用(R相200V-S相200V-T相200V)

住宅で交流三相3線式のものがついているのはとても珍しいでしょう。ほぼ単相3線式です。

計器用変成器の変流器(CT)を組み合わせて変流比1次側電流200、2次側電流5の割合で変換して大電流のものを計測します。この比率をCT比とも言います。例えば20Aの使用電流の測定ならCTで0.5Aに変換して電力量計に流れ電力量を計算します。電力量計に流れる電流は0.5Aですが20Aの電流が流れているものとして算出されます。変流器により大きな電流を測定するための機器を小さくすることができるのです。2次側定格電流5Aのものが一般的です。

計器用変流器(CT)です。これは6600V受変電設備(キューピークル)内の電流計用に接続されている変流器です。この写真でS相についていないのはR+S+Tの電流の和は0になるのでR相とT相の電流値がわかればS相の電流値もわかるからです。

電力量計上部。中央の六角部はクルクル回ってる円盤の軸です。

数値を表示する部分を計数装置と呼びます。

電力量の計算式は電圧(V)×電流(I)×力率(cosθ)×時間(t)

電力量計の接続図です。

ハムスターを円盤の上に乗せたら走ってくるくる回りそう(笑)

円板の材質はアルミのようです。穴ぼこはなんのためなのでしょう??

軸棒の上部にバネのようなものがあるんですがそれを制御バネといいます。

コの字型の部品(写真左側)が制動磁石(永久磁石)です。これにより制動磁束を発生させます。渦電流による電気制動を利用してこの電力量計だと1200rev/kwhの回転数になるようにしています。制動磁石(永久磁石)の位置で制動の具合が変わります。

成層鉄心です。写真左上部分の銅色のものがくま取りコイルかなぁ。鉄心の一部に短絡したコイルであるくま取りコイルを取り付けることにより、部分的に磁束の変化が遅れます。すると位相差が生まれます。この位相のずれにより移動磁界が発生しアルミニウムの円盤が回るようです。(?_?)

誘導形積算電力量計はアラゴーの円盤の原理を利用しています。フレミング右手の法則(Bℓν)により誘導電流(渦電流)が発生しフレミング左手の法則(BℓI)により円盤が回転するようです。

巻かれているコイルを一つ伸ばしてみて電線の長さがどれぐらいなのか測ってみました。約1300の折返しで約2600ミリ(260センチ、2.6メーター)のようです。

成層鉄心です。渦電流による損失低減のためこのように薄いものが重なっています。

オマケ…

特別高圧22000V用の電力量計(精密級・デジタル)です。

交流電力量計は国内では2018年でクルクル円盤が回るアナログタイプは生産終了しており電子式に切り替えが進められているようです(; ・`д・´)